懺悔
―うさぎは寂しいと死んじゃうんだって。



夕焼けが辺りを包む。


川がその光を反射する。

草はその光を吸収する。


全てのものが優しく全てを包み込み


そしてまた、

夕焼けが二人を包む。


ねー快斗ぉ。
今日、青子んちで夕飯食べない?


それは放課後、いつもの帰り道。

わりぃ、今日はちょっと用事があるんだ。
どうしても抜けられない用事が…。


少女は予想通りの返答にガッカリと肩を落とす。

そっか。
今日はキッドの予告日だったからお父さん仕事なの。
夕飯、青子一人っきりなんだ。


少年は愁いを帯びた瞳で少女を見る。

……


全ては少年の責。

(青子の手料理、美味しいのにな。
快斗にも食べて欲しかったのに。
それに…)


叶わぬ事と知りつつも。

(いつも、すまねぇ。
でも、これだけは…)


大きな大きな十字架を
背負って、往く。

やがて迎える分かれ道。

じゃぁ、青子の家こっちだから。
また、明日ね。


少年もまた

おう。また明日な。


違う道を歩み始めた。





お父さんが居ない日は…。
キッドが予告をした日はいつも青子一人なんだ。
一人で食べる夕飯って知ってる?
どんなに美味しい料理作ったって、
いっくら頑張って作ったって、
全然美味しくないんだ。

でも、寂しい顔するとお父さんも仕事頑張れないから、
絶対に顔には出さないんだ。
だって最近キッドが帰ってきたから
今度こそ逃がさないって負けん気になってる。
青子はそんなお父さんを応援したい。

…でも青子は知ってる。
キッドは捕まらないって。
捕まるわけが無い。
私だって捕まえられないのに、ましてやお父さんが捕まえられるわけが無い。

どうしてキッドは泥棒やってるんだろ。
周りに迷惑ばっかり掛けて。
もう青子、こんなに寂しい夕飯食べたくないよ。

お父さんにはキッドを捕まえてもらいたい。
お父さんの目標だもん。
お父さんの夢だもん。

でもキッドには捕まってもらいたくない。
だってキッドは…。

青子は知ってる。
知ってしまった。知らなければ良かった。

もうこんなに寂しい夜は嫌。
もうこんなに悲しい夜は嫌。


俺が予告を出せば青子は一人で留守番しなければならない。
そんなことくらい知っている。
知っていたけれど分からなかった。今日までは。

俺は自分の事ばかり考えて。
親父を殺した奴らの尻尾を掴む事、
パンドラを手に入れることばかり考えていた。
自分勝手な奴だ。
別に誰に頼まれたわけでも無いのに。

分かってしまった。分かりたくなかった。
寂しい、青子の気持ちを。

青子もずっと我慢していたんだろう。
知っていた。
それでいて甘えてしまったんだ。

それでも止める事は出来ない。
ごめん。
もう少しだけ。
ボレー彗星まで。
それがけじめ。

止める事は出来ないけれど、せめてこのくらいは…






「青子ーっ!」
翌朝、いつもの教室で、快斗は意中の彼女ひとの名を呼んだ。
「あ、快斗。おはよう。どうしたの?そんなに大きな声出して。」
席に着き、本を読んでいた青子は顔を上げる。
快斗はひょいひょいと机を書き分け、青子の下へ一直線に進んだ。
「青子!」
「何よぉ。あんまり大きな声出さないでよね。恥ずかしいじゃない。」
そういうと青子は顔を赤らめた。
「悪りぃ。悪りぃ。ちょっと良い物貰ったからさ。」
「え?何ー?」
そういって快斗を見上げる青子。まばゆいばかりの笑顔で。
「ほら。トロピカルランドの招待券。青子、新しいアトラクションに乗りたいって言ってたろ?」
「うん…。」
「今度の日曜、一緒に行こうぜ。良いだろ?」

彼女の返事はもちろん…

「うんっ!一緒に行こう!」







快斗が優しくしてくれるから寂しい夕飯も我慢できる。






青子が些細な事で喜んでくれるから甘えられる。






それぞれの

おのおのの

満足という幸せを胸に




えーっと、私の思う二人像。
言葉足らずで上手く表現できなかったけれど、こんな感じでした。
いつかしっかりとしたストーリもの書きたいなぁ。

2002/9/15
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